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ある老夫婦の話
2023 / 05 / 21 ( Sun ) 22:53:29
世の中は、戦争の話で持ち切り
物騒な時代となりました
この話は、ちょっと前に書いた話ですが
基本的には、フィクションです
ただ。。。
こんな思いを持ち続けている方々が
確かにいることは紛れもない事実

戦争はいけません

こんな当たり前のことが
なんで繰り返されるのか。。。
人間ってやつは
全く理解に苦しみます

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『ある老夫婦のお話。。。』


あるところに。。。
おじいさんとおばあさんがいました

誰からも羨ましがられるような
とても仲の良い。。。
笑顔の似合う老夫婦でした


ある晴れた日の午後。。。
その日もいつもと同じように
おじいさんとおばあさんは
縁側でお茶を飲みながら
おだやかな時間を過ごしていました

空は青空
お天道様があたたかで
つい。。。
うつら。。。うつら。。。

二人はそれぞれに
夢を見ました


  ○ ○ ○

おじいさんの見た夢は
あの戦争の夢でした。。。

おじいさんは、昔。。。
戦争へ行ったことがあります
おじいさんにとってそれは
悪夢のような日々でした

多くの仲間が目の前で
血を流しながら死んでいきます
おじいさんは必死で戦い続けました
そして、心ならずも。。。
何人かの人を殺してしまいました

生きるためには
戦わなければなりませんでした
家族を守るためには
殺さなければなりませんでした

心から信頼しあい
支えあってきた親友さえも
見捨てて。。。
前進しなくてはなりませんでした

殺した命にも
見捨てた命にも
夢がありました
家族がありました

おじいさんは、そのことを思うたび
胸の奥が苦しくなります

戦争だったんだから
仕方がなかったんだよ


ともに生き残った戦友たちは
そんな言葉でお互いを慰め合ったけれど

人を殺した心の痛みは
簡単には忘れられません。。。
友を見捨てた心の痛みは
癒えていくことはありません。。。


おじいさんはその日、夢の中で
自分が殺してしまった人たちに会いました
見捨ててしまった親友にも会いました

彼らは、何にも言わなかった
でも、心に直接。。。
その想いが伝わってきました

「俺たちも生きたかったよ。。。」

おじいさんの心に
彼らの想いが響き渡ります



おじいさんは、たまらなくなって
泣きながら、こう叫びました

「ごめんなさい。。。」




  ○ ○ ○


おばあさんの見た夢も
やはり、戦争の頃の夢でした
おじいさんが、戦争に行ってしまったあと
おばあさんは、まだ小さかった息子と二人
おじいさんの帰りを待ちながら
つつましい生活をしていました


ある夜。。。
空襲警報が鳴り響きました

その夜の空襲は激しく
あたりは、あっというまに
火の海になりました
家という家を焼きつくしながら
炎はどんどん広がっていきます

どこへ逃げればいいのか

それすらもわからないまま
息子と二人。。。
火の海の中を逃げまどいました

逃げる途中で、おばあさんは
一人の男の子に出会いました
親とはぐれてしまったのでしょう
男の子は、おばあさんを見つけると
ふらふらと近づいてきて
こう言いました

「助けて。。。」


見れば、男の子は
全身。。。焼きただれていて
目を覆いたくなるようなありさまでした
おばあさんは、この子を助けたいと思いました

でも、火はすぐそばまで迫っています
まだ、小さかった息子を連れて。。。
さらに男の子を背負って逃げるのは
とても無理なことのように思えました

おばあさんは。。。
とっさに。。。心の天秤にかけました
息子とこの哀れな男の子を

もちろん、答えは決まっていました

すがりついてくる男の子をはねのけて
おばあさんは逃げました


おばあさんはその時
自分は鬼になってしまったんだと思いました
悲しくて悲しくて涙が出ました
何度も引き返そうか迷いましたが
それでも、早く逃げなければ
息子も死んでしまいます

おばあさんは、息子のために
鬼になりました

煙に巻かれながら。。。
血も煮えたぎりそうな熱さの中
歯を食いしばり。。。

逃げて。。。逃げて。。。逃げて。。。

おばあさんと息子は
どうにか、生きのびることができました


それから、あの男の子がどうなったのか
おばあさんは知りませんでした

でも、たぶん。。。おそらく。。。


おばあさんの夢の中には
あの男の子が出てきました

全身にやけどを負った男の子は
何も言いませんでした

でも、心に直接
男の子の想いは伝わってきます

「僕も生きたかったよ。。。」

おばあさんの心に
男の子の想いが響き渡ります


おばあさんは、たまらなくなって
泣きながら、こう叫びました


「ごめんなさい。。。」



  ○ ○ ○


おじいさんは
おばあさんの

おばあさんは
おじいさんの

「ごめんなさい。。。」

という声に驚いて
目が覚めました

「ばぁさん。。。どうした?」

「おじぃさんこそ、どうかしたの?」

二人とも・・・夢の話は出来ませんでした
心の中に。。。闇を感じながら
二人はまた、お茶を飲み始めました


「今日もいい天気ですね。。。
 おじぃさん。」

「そうだなぁ。ほんとにいい天気じゃね。。。
 ばぁさん。」


お天道様はあたたかで
心地よい風も吹いていました

縁側で微笑みながらお茶を飲む老夫婦は
本当に本当に
幸せそうに見えました。。。


ただ、二人が飲みほした
冷めきったお茶は。。。

深い深い後悔の味がしました
             
    おしまい



……このお話はフィクションです

でも。。。これに似た想いを持つ人たちが
世の中にはたくさんいるそうです

彼らは、何一つ。。。悪くありません

戦争という名の狂気の中

彼らは心に深い傷を負い
本来、被害者のはずであるのに。。。

どこか。。。引け目も感じていて
なかなかそのことを話したがらない

そんなふうに埋もれてしまった真実が
たくさんあると聞きました

戦争の体験は。。。
想像を絶するものがあります

思い出したくもないことも
きっときっとあるのでしょう

だからこそ。。。
なればこそ。。。

戦争は。。。
もう2度と繰り返したりしてはいけない。。。
そんな想いをこめて。。。
こんな物語を書いてみました

決して、誰かを傷つけるために書いたわけではありません
これは、反戦の物語であります

今日は、長い間お付き合いいただいて
本当にありがとう。。。


もしも気に入っていただけたら
幸いです。。。
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年が明けました
2023 / 01 / 02 ( Mon ) 23:34:35
年が明けました
喪中なので、おめでとうは言いませんが
去年続いた不幸を
出来れば今年は避けたくて
厄払いしたい。。。と考えております

。。。っがしかし

元旦。。。
大切に育てていたベタ(熱帯魚)が
死んでしまいました
このところ、餌の食いつきも悪かったりして
心配していたんだけど

昨日は水の中。。。
今日は土の中で眠ってます

買ってきたばかりのころは
とても美しいベタで
でも、このところ。。。多分病気で
別人、いや、別魚のようになってしまっていて

水温。。。低かったのかなぁ
ストレス。。。強かったのかなぁ

今更どうにもならないことを
ずっと考えてます

それでも4カ月
短い間ではありましたが
毎日、お話を聞いてくれた大切な存在でありました

いってきますと
ただいまは。。。
かならず、彼には大きい声で言ってました

悲しいことはここまでにして
少しでもいいから。。。
今年はいい年になるといいです

と思っていたところにまた
不幸な知らせ。。。

婿がコロナになったとのこと
孫たちも時間の問題?かもしれない

心配は尽きませんが
何とか頑張って
出来れば前向きに暮らしていければと思っています

今年もよろしくお願いいたします

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花丸でした
2022 / 11 / 12 ( Sat ) 12:34:40
この2カ月。。。

不運が続いた



極めつけ。。。

2カ月半前。。。

入院した父が亡くなった



おーい。。。

いきなりすぎるでしょう



病院から連絡があったときは

もう、心肺停止の状況で

誰も父の最期に立ち会えなかった



ただ。。。

認知症になってから

いろんなことがあったからね

みんな、よく頑張ったと思う

父も。。。

母も。。。

その家族も。。。



だから、💮でした

そういうことにすることにした



もう、ずいぶん前から

私が誰だかわからなくなっていたけど

まともな会話も出来なかったけど



どうかなぁ。。。

今は、いろいろ思い出してくれてるかなぁ



いっくら貴方が私のことを忘れても

私は覚えているからね

絶対、忘れたりしないから



ただ、日を追うごとに

ぽっかり空いた心の穴は

じわりじわりと沁みてくるもので

こればかりは仕方ないことなのだと

思うしかなくて。。。さ





できれば。。。



もっと助けてほしかったなぁ

まだまだ。。。

相談にだってのってほしかったよ



でも、もう無理なんだよね



長い間、ありがとうね

感謝しています



私、今。。。

人生の最大のピンチだけど。。。



ゆっくり休んでね

また、会おうね



お父さん。。。

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弱気の塊
2022 / 10 / 20 ( Thu ) 22:40:31
この2カ月の不運は

人生最大かもしれないと思うくらいひどくて



さらに。。。

次々と重なる問題を解決できる術もなく

ただただ積み重なっていくという苦しみ



最初は。。。なんだっけ

車が故障したこと

新しい車を買ったこと

生活費が入らないこと

返済が滞りそうなので

私の預金から持ち出しがあったこと



孫たちの健康のこと

パソコンがいきなり壊れて

新しいものに買い替えたこと



次々。。。物入り

なのに、一銭も入らない



心に余裕がなくなって

さらに心配事は増える



アップルのアカウントがロックされて

戻せないままでいるのも

結構、凹んでいる原因



お祓いでもしようか



良いことなんてもうないのかな

こんなことになるために

今まで頑張ってきたのかなぁ。。。



そもそも。。。

この人生に意味なんてあるのかなぁ



一瞬だけでもこの心

休ませてあげたいのだけれど



休む間もなく次から次へと

問題がやってくる。。。



そもそも。。。

この人生に意味なんてあるのかなぁ

こんなことになるために

今まで頑張ってきたのかなぁ



弱気の塊

それが今の自分

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蝉の話
2022 / 10 / 17 ( Mon ) 00:45:56
蝉の話。。。
させてください
私はもう、めっちゃおじぃちゃん子でした
世界で一番好きなのは、おじぃちゃん
だから、たくさん
おじぃちゃんには教えてもらいました

蝉が。。。
7年も地下で幼虫として暮らし
やっと表に出てきて成虫になってからは
7日間しか生きられないことを知ったとき
私は蝉がかわいそうだと泣きました
やっと大人になれて。。。
さぁ、これからというときに
7日間?
私が泣いていると
おじぃちゃんは教えてくれました

蝉は何年も何年も
地中の中で暮らしてきたから
空を飛ぶのは上手くない
だから神様は蝉のために
天国は空の高い高いところにあるから
そこまでたどり着くために
7日間、大きな声で鳴きながら
空を飛ぶ練習をしているんだよ
天国で幸せに暮らすために。。。

そっかぁと思いました
だったら、可哀そうじゃないよね
天国へ行けるんだもんね

幼い私は素直にそう思いました。。。

ふと。。。ふと。。。
こうも思いました
おじぃちゃんは人間が死んだら
空に昇って星になるんだよと教えてくれたけど
私たちには羽がありません。。。
人間は、死んだらどうなっちゃうの?
一度、尋ねたことがあります
おじぃちゃんは言いました

空に昇って星になるんだ。。。
心は軽々と空に昇るからね
大丈夫なんだよ

だったら。。。。
だったら。。。。

私は今もおじぃちゃんの星を探しています
きっといつも私を見ていてくれているはずだから
そう約束したから

夕方。。。
一番先に輝くあの金星が
おじぃちゃんだと勝手に思っています
心配して。。。一番に光ってくれる
それが証拠です

私も星になる
やがて、そう遠くない将来星になる

もう、生まれ変わらなくたってかまわないから
娘と孫たちの行く末を見守りたい
ずっとずっとみつめていたい

たとえなにもしてあげられなかっとしても
見つめてあげて、見届けたいと
今は思っています

秋になりました

蝉はもう、天国へ着いたでしょうか。。。

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